通常、私たち矯正歯科医が診て、完全に美しい歯並びと咬み合わせの人はほとんど稀で、大なり小なり悪いところがあるようです。日常生活において支障をきたしていると考えられる場合、治療の対象となりますので、一度矯正歯科の医療機関でご相談されることをお奨めいたします。 また、口元が出ているなど、歯に起因する顔の美醜も問題になることがあり、劣等感など精神的問題につながることもあります。簡単な歯並びや咬み合わせのチェックには、以下のようなことが挙げられています。
悪い歯並びや咬み合わせがあると、以下のような問題が起こると考えられています。
矯正歯科治療は、顎や歯を動かすことによって歯並びを整え、咬み合わせを改善することで、健やかな人生を送っていただくためのものです。しかし、治療のデメリットもあることを理解していただかなくてはなりません。一般に以下のことが挙げられていますが、治療を受けられる年齢や時期によって異なりますので、実際に矯正歯科医を受診され詳しくおききになられ、矯正歯科治療を受けるかどうかお決めになることをお奨めいたします。
矯正歯科治療は非常に専門性の高い医療で、一般に歯科の大学を卒業した後に、さらに十分な修練を積んだ先生が治療にあたります。治療は顎や歯を動かす前に、これらの精密な検査を行いますが、これらの検査機器が整っていることも条件であり、さらにスタッフ教育など院内体制も充実していなければなりません。
従って、料金が安いことや単に近所ということで、安易に矯正歯科医院や病院を選ばないよう注意が必要です。本学会では認定医制度を実施しており、審査に合格した先生に対して、一定以上の知識と技術を取得していると認定しています。このホームページにも氏名を掲載していますので、これらの先生の医院や病院を選択されることもひとつの方法です。
いずれにしても、とにかく矯正歯科を標榜する歯科医院や病院で矯正相談を受けられ、十分な説明を受けられた後、帰宅されて検討されることをお奨めいたします。ご不安な場合、料金はかかりますが、他の医院や病院でもう一度矯正相談を受けてみられる(セカンドオピニオン)ことも良い方法です。
矯正歯科治療は成長・発育期に行うのがよいとされています。しかし、幼児の場合は治療自体が困難な場合もあり、ある程度分別のつく年齢からが好ましいといえます。
その意味で小学生から中学生に治療開始することが多いのですが、近年では中・高年の方々も治療が可能となってきました。しかし、その年齢では成長・発育は終了しており、顎や歯の移動が円滑でないため治療期間が長くなることが多いようです。またむし歯などの治療を受けておられることも多く、治療の制約があったり、装置の見ための悪さをひどく気になさる方々もおられます。一度は、矯正相談を受けられ、お考えになることをお奨めいたします。
一般に、特殊な病気による不正咬合の矯正歯科治療を除いて、矯正歯科治療は健康保険が適用できません。従って、治療費全額が患者さんの自己負担となってしまいます。通常、複雑なマルチブラケット装置などの精密な装置を使用する場合、治療完了まで総額で60〜100万円程度かかるようです。非常に簡単な歯の移動などであれば5〜10万円程度で済む場合もあります。
次に、治療期間ですが、不正咬合の著しい場合は装置を入れておく期間が1〜3年程度かかることもあり、反対に簡単な治療で改善する場合には半年程度で済むこともあります。受け口など顎に問題がある場合などは、はるかに長い期間に及ぶ場合もあります。一度、矯正相談をお受けになり、改善したい部位をはっきり先生にお伝えし、料金や治療期間をおききになり、検討されることをお奨めいたします。
矯正歯科医が矯正装置を選択する場合、最も効果的で見えにくい装置を第一に候補に挙げます。しかし、見えにくい装置といっても、患者さんと先生の間には意識のズレもあり、患者さんが満足されない場合もあります。近年では、取り外し可能で透明な装置もありますが、治療に限界があることも多いようです。
一度、矯正歯科の医院や病院で、矯正相談を受けられ、あなたに入れる可能性のある装置を実際にみていただかれることが最も良い方法と考えられます。
一般に、スポーツには身体のバランスが必要であると考えられます。咬み合わせの改善によって、バランスも改善されることは種々の分野のアスリートたちも証明しているところです。矯正歯科治療中に強くかみ締めると一時的に痛みが出ることもありますが、長い目で見ると早い時期に治療されておくことをお奨めいたします。
次に、吹奏楽器を演奏する場合ですが、矯正装置を入れた当初あまり良い音色は出ないようです。しかし、数ヶ月もすれば、慣れてもとの音色に戻るとのことで問題ないようです。
ご質問から判断して、すでにすべての歯が永久歯になっていると推察されます。このような場合、一般に使用する矯正装置はほとんど全ての歯の表面に取り付けるマルチブラケット装置を使用することが多いようです。このような装置を装着した当初、歯を圧迫して移動するため、子供では2〜3日、成人では1週間程度痛みが続き、硬い食物も食べられないようですが、以降、徐々に痛みも収まり、元の食生活に戻ることが可能です。通院ごとに装置を調節するため、再び痛みがでますが、そのインターバルは短くなり軽減してきます。
いずれにしても、受験期は人生の大切な転換期であり、少しでも治療などのストレスを回避することも必要かもしれません。本人に治療を受けたい強い意思があれば、治療と勉学を両立できますが、受験後に治療を開始されてもあまり不都合はないと考えられます。
ご結婚、転居、妊娠そして治療はすべて大きなストレスの原因となります。転居されて、落ち着かれて矯正歯科治療を受けられることをお奨めいたします。また、妊娠については初期がもっとも大切な時期で、できれば矯正歯科治療と同時進行になりませんようお考えになってください。
また、県外での良い矯正歯科医の見つけ方ですが、B-9にあるような先生を見つけられるのが良い方法と考えられます。このホームページには、全国の矯正歯科医で認定医以上の氏名が検索できるようになっていますので、ご参考にしてください。
現在、本学会では資格制度を実施しており、審査に合格した先生に対して、一定以上の知識と技術を取得していると認定しています。認定医資格をもつ先生は、5年以上の矯正歯科の学識、技術および臨床経験を有しており、指導医は12年以上の研究、教育および臨床経験を有しており、多くは大学に所属しています。専門医はさらに高度な学識、技術はもとより豊富な臨床経験等を有している先生を認定しています。
しかし、これらの資格を保有されていない矯正歯科医においても、高い学識、技術および臨床経験を有している先生も多くおられることを申し添えておきます。
現時点で、矯正歯科治療で健康保険が適用できるのは限られた場合のみです。健康保険が適応となるのは、顎を手術で動かすことを前提として治療する場合や指定された疾患により咬み合わせが問題となっている場合です。一般の咬み合わせが悪い状態の場合には、健康保険は適用できず全額自己負担となります。最近では、医療機関によってはカードによる分割も実施しているところがありますので、無理のない支払いが可能かもしれません。
正歯科治療は非常に専門性の高い医療で、一般に歯科大学を卒業した後に、さらに十分な修練を積んだ先生が治療にあたります。治療は顎や歯を動かす前に、これらの精密な検査を行いますが、これらの検査機器が整っていることも条件であり、さらにスタッフ教育など院内体制も充実していなければなりません。
先生の説明が理解できないとのことで迷っておられる場合、再度その医院に出向かれ詳しくご説明を受けられるか、別の矯正歯科医院や病院に矯正相談にいかれ、別の意見(セカンドオピニオン)もきいてみるのもひとつの方法です。
基本的に、特殊な場合を除いて、一般的な矯正歯科治療では健康保険は適用されず、原則患者さんの全額自己負担となる上に、長期間の通院となりますので高額になります。治療費の分割を実施している医院もありますので、お電話をされお尋ねになってみてください。また、医療費控除が適用される場合もありますので、これについてもお調べになってみてください。
原則全額自己負担となる高額な矯正歯科治療費をお支払いになる患者さんにとって、十分納得の上で受診されたいご意向はもっともなことです。今後の長い治療期間で、いろいろな疑問や不安もわいてくるかと考えられます。その都度、先生やスタッフにご質問され、解消されていくことになりますが、あらかじめ丁寧にご説明される医院をお選びになることをお奨めいたします。
とにかく、矯正歯科治療は長くかかりますので、技術ばかりでなく相性の良い医療機関を選択することも大切な要件です。
ご希望された装置はリンガルブラケット装置と考えられます。この装置は他人にはほとんど判らないという利点がありますが、多くの欠点もあります。まず、歯の裏側に取り付けられているため、舌が接触して痛みを感じることやしゃべりづらいことがあります。また、上下の歯の咬みあわせの具合によって、リンガルブラケット装置を付けることができない場合もあります。何より歯の裏側の装置を調節することは非常に困難であり、治療期間も長くなってしまい、100万円を超える治療費となってしまいます。
このような理由で、「下の歯には表側からの装置にしませんか。」と言われたと考えられます。私たち矯正歯科医も矯正装置を選択する場合、最も効果的でできれば見えにくい装置を選択していますが、無理な場合もあることをご理解ください。近年では、取り外し可能で透明な装置もありますが、治療に限界があることも多いようです。
再度、その先生にご質問され、十分なご理解の上で治療に入られることをお奨めいたします。
歯並びや咬み合わせ(不正咬合)が極めて悪い場合、とくに上下の顎がずれていることが原因で生じた不正咬合は、まず顎の大きさを改善することが正しい治し方といえます。顎がずれを治療せずに、歯を動かす矯正歯科単独治療で改善しようとしても、なかなか無理があり、いずれ元の悪い状態に戻ったり、歯の寿命を早めてしまう危険性もあります。
このような不正咬合の方は顔貌も好ましくなく、手術によって大いに変貌し喜びの声をお聞きいたします。一般に、手術を行う場合、手術の半年から1年前にマルチブラケット装置を装着して矯正歯科治療を行い、そのまま手術後にも咬み合わせの微調節を行うために歯の移動を行います。これら一連の治療については健康保険が適用されます。
いずれにしても、これらはあくまでも一般論ですので、実際に手術をお受けになる病院で、手術の方法とリスク、また予想される入院期間や回復までの期間、さらには後遺症や治療費などに関して、十分説明をおききになり、十分な理解と納得の上で治療を選択されることをお奨めいたします。
一般に、医療を受けられた場合、確定申告の際に医療費控除をすれば税金が戻ってくることがあります。咬み合わせや歯並びを改善する矯正歯科治療も同様ですが、美容が目的の矯正歯科治療では医療費控除ができない場合もあり、成人の場合は医療費控除できない場合が多いようです。戻ってくるには所得や医療に費やした金額によって異なってきます。詳しいことは管轄の税務署にお尋ねにならなければなりませんが、医療機関で発行された領収書は必ず保存しておいてください。
医療機関で発行される診断書等の文書料は、健康保険が適用されず、全額自己負担となってしまいます。文書料も一律ではなく、通常1,000〜5,000円程度のようで、学校や会社を休む場合などの簡単な診断書や保険会社に提出する診断書等によって金額が変わります。発行される医療機関でお尋ねになってください。
むし歯などで歯科の医院や病院で検査する場合、むし歯になった歯の数本のレントゲンなどの検査で済むことも多く、しかも多くの場合健康保険が適用されることになります。しかし、矯正歯科治療ではほとんどの歯を移動することが多く、上下の顎の状態も診ておかなければならず、顎の関節等についても必ず診断しておかなければなりません。その上に、多くの場合健康保険が適用されないため、患者さんの全額自己負担となってしまう関係上、高額になることをご理解ください。
矯正歯科の検査では、必ず顔写真をとらせていただきます。これは顔面の左右非対称性を調べたり、矯正歯科治療中の顔の変化を診断するために非常に重要でどうしても必要な検査といえます。しかし、あなたの顔写真その他を学会など公衆の眼に触れる場合には、個人情報保護法に基づき、あなたの同意を必ず得ることになっています。無論、アルバムに掲載する場合も同様です。同意を求めた際に拒否されれば、歯科医師や医師の守秘義務により、あなたの顔写真その他が公開されることはありません。
矯正歯科治療は長期間の治療となることが多く、歯の多くを動かし、時には顎や顎関節などの変化を定期的に診て異常がないか確認しなければなりません。レントゲンの撮影時には、被爆を最小限にとどめるために鉛で覆われた防護服を必ず着用していただくはずです。一般に、日常の太陽光線などによる被爆と同じ程度の範囲内で行われているはずですが、ご質問ではどのようなレントゲンの種類や撮影回数・間隔などが不明であり、ご心配であれば主治医にお尋ねになってください。
我々矯正歯科医も抜歯することは基本的に行いたくないのは当然であります。何とか抜歯しないで済む方法はないか、先生がいろいろ考えた挙句の抜歯とご理解ください。矯正歯科治療は現在と将来のために咬み合わせや歯並びを改善するのであり、お子さんの場合にはそれらを達成するために抜歯がどうしても必要な措置ということではないでしょうか。無論、治療のための抜歯につきましては、本人そして保護者の同意のもとに行われるもので、納得いかれるまで主治医にお尋ねになってください。
矯正の患者さんに装置を入れる場合、矯正歯科医はまず歯が効果的に動き、痛みの少ない見えにくい簡単な装置を選択したいと考えます。しかし、お嬢さんの場合、ガタガタの歯並びや出っ歯などで多くの歯を動かさなければならないのではないかと思われます。このような場合には、多くの歯の外側に取り付けるマルチブラケットという装置を使用するほうが正確に迅速に多くの歯が移動するため、簡単な装置を使用するより治療期間が短縮され、歯並びも咬み合わせも随分良くなるはずです。我慢して治療を受けてください。
通常、マルチブラケット装置を入れ、歯の移動を開始すると歯が周囲の歯肉や骨を圧迫したり、装置が唇や頬の裏側に擦れるなどで痛みが発生します。通常、痛みの程度や持続期間には個人差がありますが、子供では3日間程度、成人では1週間程度痛みが持続します。それ以降になると、痛みは徐々に軽減し、食事もできるようになってきます。あなたの場合、我慢できない後悔するほどの痛みということであれば、歯が少し強く圧迫しているのかもしれません。早めに、先生にご相談してみてください。
矯正の装置を入れた当初、痛みが持続します(F-1参照)。それ以降になると、痛みは徐々に軽減し、軟らかい食物を摂取できるようになってきます。しかし、歯が移動し揺れてきますので、当分の間、繊維性の多い野菜やお肉を噛む際に痛みが生じ、噛み切ることができない場合もあります。よほど硬い食物は別にして、じきに通常の食事ができるようになってくると考えられます。
矯正の装置が入ると、確かに十分に歯磨きをすることがかなり困難になります。従って、我々矯正歯科医は装置を入れる前に十分な歯磨き指導を行い、お口の中の爽快感を体感して、複雑な装置を入れてもその爽快感を維持していただこうと考えています。最近では、フッ素入りの歯磨き剤がほとんどであり、むし歯の発生はかなり低くなってきましたが、粘着性のある食物は極力避けていただき、三度の食事の後は必ず歯磨きを励行するようお願いをしています。奥歯の装置周辺はとくに食物の残りカスが停滞しやすく、むし歯の発生や歯肉が盛り上がることがあります。
外食される場合には、必ず歯ブラシを持参するようにしてください。学校などで歯磨きができにくい場合は、せめてウガイをするようにお願いします。矯正用の歯ブラシや円錐形の歯間ブラシもありますので、複雑な装置の周辺ではこれらを併用することをお奨めいたします。
矯正歯科治療は、長期間の治療となり、このような問題はよく起こることです。今後、あなたが行うべき対応には以下が考えられます。
矯正歯科治療は長期間の治療となり、長い間の通院中には大なり小なりのご不満が出てくることは確かです。このコーナーにくる質問の中で最も多いご不満の原因は、患者さんと先生の対話不足です。あなたのほうから主治医に治療の進行状況、不安や不満なことについて一度お時間をとり、お話しされてみてはいかがでしょうか。別の医療機関に替わることは、これまでの治療が停滞したり、費用の問題など犠牲が大きすぎますので、極力避けるほうが賢明と考えられます。
本学会では、このような患者さんと先生の問題につきましては、それぞれ個人の問題であり、仲介することはできず、あくまでアドバイスしかできないことをご理解ください。
矯正歯科治療は顎の関係を改善したり、歯を無理のない程度に少しずつ動かすために予想以上に長引いたり、逆に予想外に早く終わることがあります。とくに、成人の治療では堅い骨の中の歯を慎重に移動するため、思いのほか長引くことが稀にあります。あなたのご質問では、治療が長引く原因はわかりませんが、先生から何も説明もないのは好ましくありませんので、一度お時間をとっていただくよう先生にお願いされてみてはいかがでしょうか。
ご質問から推察すると、まず受け口の治療で乳歯も多くある時期から治療を開始されたように考えられます。このようにまだ乳歯の多い時期からの治療では、予想外に顎の成長が大きかった場合や予想外に大きな永久歯が生えてきた場合に、永久歯の抜去を治療途中からご提案することがあります。我々矯正歯科医もできれば永久歯の抜去をしたくないのは当然でありますが、想定外の問題が発生しますと、その対応のために当初の説明とは異なったご提案をすることがあります。一度、よく主治医におききになってみてください。
歯並びや咬み合わせの改善のための歯の移動が終わると、新しい歯の良好な位置を維持するための保定が始まります。移動完了直後の歯はかなり動揺しています。これは、歯の周囲の骨や歯肉などの組織がしっかり歯を堅固に取り巻いていない理由によります。従って、保定装置を使用しなければ、もとの悪い不正咬合に戻ってしまうことになりかねません。通常、1年以上は毎日保定装置を使用する必要があります。どうしても忘れてしまう場合には、固定式の保定装置に切り替えることも考慮に入れなければなりません。主治医に相談してみてください。
保定装置を使用しなければ、もとの悪い不正咬合に戻ってしまう傾向が出てきます(G-1参照)。できるだけ早い時期に主治医にご相談ください。気になるほど悪くなっているようであれば、再治療となりますが、早い時期であれば多くの場合、短期間で治療を終えることができます。
装置をはずした後の通常の磨き方は、まず奥歯の噛む面を磨き、続いて歯の裏側そして表側を磨いていきます。問題は磨く方向です。歯と歯の間は窪んでおり、横磨きするとそこの部分が磨けません。立て磨きするよう習慣づけてください。針金で留めてある歯の裏側は、食べ物のカスが停滞しむし歯になりやすいので、いろいろな方向から磨いてください。
矯正歯科治療が完了した後でも、歯並びや咬み合わせは変化します。通常は良い方向に変化していくのですが、親しらずが生えてきたり、むし歯や歯周病が起こったり、妊娠や加齢その他の身体の変化で歯並びや咬み合わせが悪い方向に変化することがあります。悪くなった歯並びの写真を撮り、矯正をしてくださった主治医に写真を送付し、アドバイスを受けてください。
良い歯並びや咬み合わせは、いろいろな原因で悪くなってくることがあります(H-1、参照)。むし歯で歯を抜くと、その空隙を埋めようとして咬み合っていた歯は骨から伸びてきますし、前後の歯は倒れてきます。しかし、おそらく抜歯した部位にはブリッジという前後の歯を土台にした人工の歯を入れますので大丈夫です。歯周病になっても歯並びが崩れてくることがあるので、歯を適切に磨く習慣をつけ、定期的に歯科に通院することをお奨めいたします。
親しらずは生える場所が足りないと、しばしば斜めに生えてきたり、埋まったままになることがあります。その上、むし歯になって痛くなったり、親しらずが前の歯を押して歯並びを崩すことがあるため、その危険性のある親しらずをあらかじめ抜歯することが多いようです。
子供の頃、矯正した歯並びや咬みあわせが悪くなることが稀にあります。この原因は、それ以降に生えてきた歯がすでに生えている歯を押したり、成長によって咬み合せが変化してきたことなどが考えられます。再度矯正歯科治療をお考えのようですが、今度は歯もすべて生えており、成長も終了しているために、しっかりした治療をし、しっかり歯を留めておく保定装置をやっておけば大丈夫と考えられます。ただし、かなり年齢が高くなると、老化等によってある程度は歯並びや咬み合わせが悪くなることはご理解しておいてください。